喘息や花粉症など、アレルギーに関係した病気では、
「IgE(“アイジーイー”と読みます)」
という、物質が大きく関わっています。
このIgEがヒトの体内で、とても大きな働きをして
アレルギー反応が起こります。
IgEはアレルギー反応を起こすメカニズムの中でも、
最重要人物のひとりなんですね。
そこで、もし、このIgEのはたらきを途中でブロックすることができれば、
アレルギー反応を起こすのを抑えることができるわけです。
そこで、今回ご紹介するのが、
新薬「ゾレア」
というお薬です。
このお薬はまさしく、
そのIgEの働きを直接ブロックするものです。
海外では2002年ごろから発売されてきていましたが、
今回、2009年の3月に日本でも発売になりました。
4週間に1回、「皮下注射」というカタチで投与します。
皮下注射とは、腕や肩のあたりの皮膚に
小さい注射器でチクッと刺すタイプです。
注射の苦手なあなたも月に1回だったら我慢できるかも知れませんね!?
アレルギーの病気で最も有名な病気のひとつに
「喘息」
があります。
重症の喘息の場合、
ひどい発作がつづくと、呼吸困難に陥り
時には命をも奪ってしまう怖い病気です。
年間、約2000人の方が喘息で亡くなられています。
そのような背景もあり、このゾレアは、
喘息の治療薬として、主に重症の喘息患者さんを対象に、
発売前に試験的な投与が行われました。
(この発売前の試験的な投与を「治験(ちけん)」といいます)
そこで、非常に良好な結果がでました。
これまでの重症の喘息患者さんに対する主な治療法は
「吸入ステロイド」というものです。
小型の笛のようなものを口にくわえて、
スーッと、中のお薬を吸い込むものです。
もしあなたのまわりに喘息の方がいたなら、見たことがあるかもしれませんね。
重症の喘息患者さんに対して、
この従来の吸入ステロイドに加えて、
さらに新薬のゾレアを、追加で投与しました。
すると・・・
なんと喘息の発作が起きるのを
50%減らすことができたそうです。
さらに、ステロイド薬の使用量も
70〜80%も減ったそうです。
そしてさらに40%の方が、
ステロイドの使用を中止することができたそうです。
なんだか凄い効果ですね(@@;
これまでのアレルギーのお薬とは、少し違うメカニズムで作用するので、
これまでのお薬にはない効果がでるのですね。
そんなわけで、このゾレア、3月からめでたく(?)
日本でも発売となりました。
もし、あなたの周りにも重症の喘息患者さんが
いらっしゃったら、このお話をされてみても良いかも
知れませんね。