皮膚科医の教えるお肌のブログ ~自分らしいお肌で生きよう「わたしの皮膚治療」ブログ~

アレルギーの特効薬がついに発売!?(4) 新薬が花粉症に使えない裏事情??

前回の続きです。

花粉症に効果があるはずなのに、花粉症に使えないというジレンマは、
実は社会全体の経済事情が関係しているようなんです。

というのも、我々が病院を受診して、
お薬、注射、検査、手術、などを払うお金、
つまり「医療費」は
大抵の方は3割負担です。

我々が病院で払っているお金というのは、
実は、本当にかかっている金額の3割しか払っていないんです。

では残りの7割は?

残りの7割を負担するのは
国の保険財政なんですね。

全国の花粉症患者数は2000万人と言われています。

もしその方たちが一斉にこのお薬を希望したら
その費用の7割を国が負担することになります・・・・。

そうすると毎年のように、医療費の増加が問題になっている
日本の保険財政は、破綻してしまうかもしれません・・・。

今回、花粉症への開発が中止され、

「ホントに重症の喘息の患者さんにしか使えませんよ」

という許可がおりたのも、
その辺りの裏事情があるのではないか、と推測されています。

実はこのように、

「効果があるのはわかっているけど
 社会的・経済的な事情でお薬として使用できない」

というパターンは、悲しいですが時々あるんですね。

というわけで、裏ワザですが・・・・

「ステロイド治療でもなかなか落ち着かない重症の喘息患者さんで、
 さらに花粉症がひどい」

という場合には、どちらにも効いて一石二鳥かも知れませんね・・・

そうでない普通の花粉症の方にとっては
まだまだ気軽に使えるお薬ではないようです。

ただ、健康保険が効く範囲は徐々に広がっていくのが通例です。

長い目で見れば、ゾレアの値段が下がったときに、
花粉症に使える日が来るかも知れません!?