皮膚科医の教えるお肌のブログ ~自分らしいお肌で生きよう「わたしの皮膚治療」ブログ~

おなかの金属アレルギー

金属アレルギーを引き起こすものにはいろいろなものがあります。

わかりやすくて身近な例でいうと、ピアス、指輪、ネックレス、などの
アクセサリー類が原因となることが多いです。
アクセサリーをしている部分だけが局所的にかぶれてしまいます。

これを「局所性金属アレルギー」と言います。

すこし気付きにくい例だと「ビューラー」によるかぶれもあります。

「まぶたに繰り返し湿疹ができる」という方は、注意してみてください。
ビューラーによる金属アレルギーが原因だった、ということもあるんです。

気付きにくい金属アレルギーの例として、もう一つあります。

それは「バックル皮膚炎」です。

ベルトのバックルに対する金属アレルギーで起きる皮膚炎です。

バックル皮膚炎は写真でみると
わかりやすいですね。

お腹の中央部に繰り返し湿疹ができる
のが特徴です。

特に夏の間だけ症状がでる場合が多いです。

汗をかくことにより、
バックルの金属が溶出して
症状を起こします。

「ニッケル」という金属が
原因であることが多いです。

それにしても、こうして、
皮膚科医の診断がついたあとで、写真を見ると
「ベルトが原因なのは一目瞭然ですね!」
と思ってしまいます。

しかし、実際に湿疹が出ている本人は
案外気づかないものです。

日常的に使用しているものほど
原因として気付きにくいんです。

ちなみに、ビューラーによるかぶれも
ほとんどの方が気付いていません。

診察室で、

「あなたのまぶたの湿疹の原因は
 ビューラーの可能性もありますよ」

と説明しても納得しない方がほとんどです。

(この辺りの事情に関してはまたいずれ詳しく解説します。)

さて、「バックル皮膚炎」に話を戻します。

一番の対策としては、
金属製のバックルを使用しないことです。

湿疹は出なくなります。

ただし、体型的な問題やファッション性の点から
「ベルトを全く使用しない」のは難しい場合もあります。

その場合、小さいバックルのベルトに変更したり、
プラスチック製の製品に変更する方法もあります。

ベルトと地肌の間に
Tシャツなど着ているものをはさんで
かぶれを防ごうとする方もいますが
実際は結局かぶれてしまうことが多いようです。

汗で金属成分がしみ出してしまうからでしょう。

さらに意外なところでは、
ジーンズのファスナーの裏側にある
金属製のボタンでかぶれるケースもあります。

バックルを非金属製品に変えても湿疹を繰り返す場合は
注意してみてください。

金属アレルギーの一番の対策は、あくまで

「原因となるものを避ける」

ことです。

これは、一見当たり前のことのようですが、
実際はなかなか難しいようです。

かぶれるとわかっていても、
ファッション性を重視して
金属製のものを使用し続ける方も
少なくありません。

特に若い方は悩まれるようですね。

確かに、お気に入りのピアスやベルトを
もう使用できない、
となるとちょっとさびしいですよね。

難しいところではありますが、
ご自分の体を大切にすることも
また大事なことだと思います。