皮膚科医の教えるお肌のブログ ~自分らしいお肌で生きよう「わたしの皮膚治療」ブログ~

市販の水虫薬をいくら塗っても水虫が治らないワケ

■市販の水虫薬をいくら塗っても水虫が
 治らないワケ

突然ですが、質問です。

以下の症状はなんという病気でしょう?

・足の指に水ぶくれのような小さなぶつぶつが
 できる
・足の指のあいだがかゆくなる
・足の皮がむける

正解は・・・・「水虫」!

・・・と思った方がほとんどではないで
しょうか。

確かに、上記はすべて「水虫」の症状です。

しかし、これでは半分正解でもありますが、
半分は「不正解」です。

実は、これらの症状があっても水虫とは限り
ません。
水虫そっくりに見えて、実はまったく違う
病気、ということが多々あります。

その最たるものが
“異汗性湿疹(いかんせいしっしん)”
です。

異汗性湿疹の症状は以下の通りです。

・突然、水ぶくれのような小さなぶつぶつが
 できる
・かゆくなる
・皮がむけてじくじくする
・これらの症状を何度も繰り返す

「あれ?これってさっきの水虫の症状と同じ
 じゃないですか?」

そうです。全く同じです。

なので、これは見た目だけでは専門家でも
区別がつきません。

皮膚科の中でも30年以上水虫を専門に研究
している先生でも、
100%見た目だけで判断することは
不可能だ、とおっしゃっています。

自称「水虫」患者の3人に1人は水虫では
ない、という研究結果もあります。

ほとんどの方は、このような症状がでたら
「自分は水虫だ!」と思い込んでしまいま
す。
そして、市販の水虫薬を塗り始めます。

しかし、異汗性湿疹だった場合、いくら水虫
薬を塗っても、全く治らないか、余計ひどく
なります。

あるいは、ちょっと良くなったように見えて
もまた繰り返します。

なぜなら、水虫と異汗性湿疹では治療薬が
全く異なるからです。

これが、市販の水虫薬をいくら塗っても
治らない大きな原因のひとつです。

異汗性湿疹の特徴についてざっとみていきま
しょう。

異汗性湿疹は、病名に“汗”という文字が
入っています。

多汗症の方に多いことから、以前は汗が原因
だと言われていました。
しかし、近年の研究の結果、汗そのものが病
気の原因ではないことがはっきりしました。

アトピー性皮膚炎、金属アレルギー、多汗、
喫煙、紫外線など、いろいろな要素が影響
するという研究がありますが、
現在では、どうしてこのような症状が出るの
か、はっきりした原因はわかっていません。

異汗性湿疹は足にできますが、手にできるこ
とも多いです。

両側の手足に左右対称にでることも多いです
が、片側だけのこともあります。

一度治ったようにみえても、季節の変わり目
などに繰り返します。

症状は先にも述べましたが、
足に(手にもでる)水泡ができたり、かわが
むけてじくじくしたり、かゆくなったりしま
す。

水虫と違って、人にはうつりません。

治療薬はステロイド軟膏の塗布です。

ちなみに水虫にステロイド軟膏を塗ると逆に
水虫は悪化します!
ですので、水虫とは治療が全く逆なのです!

患者さんの中には、何年も何年も「治らない
なぁ」とストレスを感じながら、
この「異汗性湿疹」に対して水虫薬を塗り続
けている方がたくさんいます。

ですので、「足に水泡ができる、かゆくな
る、皮がむける」=「水虫」ではない!
ということは是非覚えておいてください。

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■今日のまとめ■

それでは簡単に今日のまとめです。

(1)水虫そっくりの症状の「異汗性湿疹」
   という病気がある

(2)専門家でも見た目だけでは区別が
   つかず、治療法も全く異なる

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