■夏に流行する病気「手足口病」をご存知で
すか?
手足口病(てあしくちびょう)をご存知です
か?
主に5歳以下のお子さんを中心に、夏場に
流行するウイルス感染症です。
今日はそのお話をしていきましょう。
原因はコクサッキーウイルスA16型、やエン
テロウイルス71型などのウイルスで、この
ウイルスのどれかに感染し、症状が出ます。
手のひらや足のうらを中心に、口の中、肘、
膝やおしりに赤みのある小さな、
2~3mm大の水ぶくれや赤みができます。
通常は、かゆみはあまりなく、痛みを訴える
ことが多いです。
皮膚科の症状としては「かゆい」ことが圧倒
的に多く、「痛い」という症状は珍しいので、
これは大事なポイントです。
実際に沢山のお子さんを診療していると、
「手足口」、という名前のとおり、
手、足、口に症状でやすいです。
しかし、手や足だけに出て、口にはほんの
少ししか出ない例や手や口にたくさん出て、
足にはあまり出ない例などもあります。
また、手足口だけでなく、ひざやおしりに
多数の水ぶくれができる例もあります。
発疹のでる範囲はかなり個人差があります。
潜伏期間は2~5日です。
感染経路は、口から出た唾液でうつる飛沫
感染(ひまつかんせん)や、
便が手につき、手からウイルスが口に入り
うつる経口感染(けいこうかんせん)など
があります。
かかった方の約半数は1~2日間、微熱が
出ますがすぐに解熱することがほとんどです。
基本的には軽症で、発疹は数日~約1週間で
自然に消え、治ります。
ですので、手足口病には特別な治療法はなく、
通常はそのまま、発疹が消えるまで様子を
見ているだけで大丈夫です。
ただし、ごくごく稀に、ウイルスの影響で
髄膜炎などの中枢神経系の症状をきたす場合
もあります。
また、口の中に水泡が沢山できてしまうと
痛みで食事や水分が摂取できず、脱水症状を
起こしてしまうこともあります。
高熱、頭痛、嘔吐などの症状が強く出ている
場合には治療が必要となりますので、
小児科などの医療機関に相談してみて下さい。
感染力は高く、皮膚の症状が消失してからも、
2~4週間は便からウイルスが排泄され続け
ます。
幼稚園や保育所など施設の中で流行すること
が多いです。
とはいえ感染した個人をずっと隔離しておく
ことは現実的ではなく、また、症状自体が
軽症であることがほとんどなので、
実際は、「発疹が出ていても幼稚園、保育所、
小学校などへ登校してもよい」
とする施設が多いようです。
水ぼうそう(水痘)やインフルエンザのよう
に「絶対に学校は休まなければならない」
という病気ではありません。
感染を予防するためには、おむつ交換時の
便の適切な処理や日頃からのうがい・手洗い
が大切です。
また、先に述べたように原因ウイルスは
ひとつではないので、
2回以上感染することもあります。
「前に一度かかったはずなんですけど・・・」
という声も聞かれますので、
そこは知っておいたほうがよいでしょう。
また感染から1~2ヵ月後に、手足の数本の
爪が根元から自然に脱落する、という症状が
見られます。
爪が急に根元からはがれそうな症状を見つけ
たら、数ヶ月前に手足口病のような症状に
かかっていなかったか?を思い出してみまし
ょう。
爪は自然に生え変わり、もとのきれいな爪に
戻るので特に治療の必要はありません。
これも意外に知られていないことですので、
知っておくとよいでしょう。
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■今日のまとめ■
それでは簡単に今日のまとめです。
(1)手足口病が夏に流行ります。
特徴を覚えておきましょう。
(2)感染力は強いですが症状は軽く、
1週間前後で自然治癒します。
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