皮膚科医の教えるお肌のブログ ~自分らしいお肌で生きよう「わたしの皮膚治療」ブログ~

ストレスで皮膚病は悪化・発症する

■ストレスで皮膚病は悪化・発症する

皮膚の病気は
「精神的なストレス」や「疲れ」などと非常
に関係が深いです。

もちろん、それが全てではありませんが
患者さんと日々接している感触からすると、

実際に、西洋医学で一般的に言われているよ
りもずっとずっと深く、メンタルと皮膚病は
関連していると感じます。

例えば、アトピー性皮膚炎などでは
精神的なストレスがあると湿疹が悪化する
場合があります。

また、精神的な疲れや、強いストレスが
かかることで、
蕁麻疹が出てくることもあります。

蕁麻疹というとすぐに「食べ物」が原因だと
思われがちですが
食べ物が原因であることはそれほど多くは
ありません。

疲労やストレスなどで発症することも多いの
です。

また、口唇ヘルペスや帯状疱疹などウイルス
もストレスや疲労で発症します。

ヘルペスや帯状疱疹の原因となるウイルスは
ふだんは体内に潜んでいます。

免疫力がしっかりあれば
原因ウイルスは抑えられており、無症状で
す。

しかし、精神的なストレスや疲れがたまり、
体の免疫力が低下すると、
潜んでいたウイルスが再活性化し
口唇ヘルペスや帯状疱疹というかたちで発症
します。

職場の部署が移動になったり、
遠方へ転勤になって、急に体に湿疹がでる方
も多いです。

また、嫁姑関係や友人関係、学校での問題、
妊娠や子育ての問題などで、皮膚症状がでる
方もいます。

無理して頑張りすぎている方や、
ストレスを感じつつも、
黙って我慢しながら生活している方に多いよ
うです。

私自身もストレスや疲れているときに
皮膚の症状が出たことが何度もあるので、
よくわかります。

実際に診察をしていて、

「明らかに精神的なストレスから皮膚の症状
が発症しているなぁ」

と感じ、患者さんに

「何か疲れていたり、ストレスはありません
か?」と聞くと
答えは2つに分かれます。

ひとつは、

「そうなんです、実はすごくストレスがあっ
て…」

という場合。

もう一つは

「えっ、全然ストレスなんか無いですね。」

という場合です。

この場合、後者の方にお会いすると、
いつも心配になってしまいます。

■まずは「ストレスがある」ことを自覚しま
しょう!

明らかにストレスが原因で皮膚病が悪化して
いる患者さんに
「何かストレスや疲れがありますか?」と聞
いたときに、

キョトンとした感じで、
「えっ、何もストレスなんかないですけど」
という方も少なくありません。

ストレスがあることを
自分で認識できていないため
正直、ちょっと心配になります。

皮膚(からだ)は明らかに
「ストレスがたまっているよ!」と
教えてくれているのですが、
本人に自覚がありません。

すると、本人は「まだまだ大丈夫!」と
さらにストレスがたまる方向へ
行動を増してしまう危険があります。

例えば、高速道路で、運転中のドライバーが
スピード違反を指摘されたとしましょう。

Aさん「確かに、すごく急いでいて、
スピード出しすぎてしまいました…。
すいません。反省してます。」

Bさん「えっ、そんなに出てました?
時速90kmくらいしか出していな
いつもりだったんですけど」

さてこのAさんとBさん、どちらが危険で
しょうか?

Bさんは、「そもそも速度オーバーの自覚が
ない」のでちょっと危険ですよね。

この場合の「スピードメーター」にあたるの
が「皮膚の病気」なわけです。

皮膚の病気は発症すると
「厄介なもの」と考えがちです。

しかし、それが大事な
カラダやココロからのメッセージである
場合もあります。

例えば、糖尿病やコレステロールなど
検査しなければわかりにくい病気と比べると
「皮膚の病気」は目でみえます。

ですので、もし、皮膚の病気がでたら
それは、カラダが「わかりやすいかたち」で

「あなた、疲れていますよ」

と、メッセージをくれているのかもしれませ
ん。

ストレスのサインが「皮膚病」として出てい
るのに、それを無視すると、皮膚の症状は
さらに悪化してしまうかもしれません。

ちなみに、

「どんな出来事がどれだけ強いストレスにな
るか」

ということを調査し、点数化したアメリカの
研究があります。

この論文によると、

第1位:配偶者の死=100点
第2位:離婚   =73点
第3位:夫婦別居 =65点

で、いずれも夫婦関係です。

他の研究でも、
「夫婦関係と健康」はとても
密接に関連していることがわかっています。

さらに注意すべき点は、

「結婚」「妊娠」「夫婦の和解」「進学」
「子供の結婚」「個人的な成功」「長期休暇」

など一見おめでたいことや、ポジティブだと
思われるできごとも、強いストレスになっている
場合があることです。

本人としては

「まさか、おめでたい出来事なんだから、
 今、ストレスなんて感じているわけがない」

とますます「ストレス源」だと気づきにくく
なります。

嬉しいことでも悲しいことでも、
「大きな環境変化」があれば
それはストレスになり得る、ということを
よく覚えていてください。

皮膚病はあたたのカラダとココロからの
メッセージであることもあります。

そんなときは、そのメッセージに
少しだけでも良いので耳を傾けてみてくださ
い。

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■今日のまとめ■

(1) 精神的なストレスで皮膚の病気が
発症したり悪化することがあります。

(2) まずは、ストレスをストレスを
自覚することが第一歩です。

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