『AGA(薄毛、若はげ)の原因とは?』
前回は「この病気って皮膚科なの?」をお話
しました。
その中で「先生!もっと詳しく知りたい
です」と皆さんからお声を頂きました、
男性の「アノ悩み」です。
■AGAって何?
「AGA」って聞いたことありますか?
最近テレビやCMで聞いたことがある方も
多いのではないでしょうか。
AGAとは、男性で思春期以降にみられる
脱毛のことです。
俗に言う「薄毛」「若ハゲ」というヤツです。
「AGA (えーじーえー)」とは、
「androgenic alopecia」の略で、
正式には、
「男性型脱毛症(だんせいがただつもうしょ
う)」や、
「壮年性脱毛症(そうねんせいだつもうしょ
う)」といいます。
2003年に、全国の20歳から69歳の
男性約8000人を対象に、毛髪についての
意識調査が行われました。
この調査の結果と日本の人口から推計した結
果、
薄毛を認識している男性は1,260万人、
薄毛を気にしている男性は約800万人、
育毛剤など薄毛への対処をしたことがある男
性は650万人、
現在、薄毛に対して何らかの対処をしている
男性は500万人
であると、想定されました。
そして、若い世代の人ほど、薄毛を心配して
いる、という結果も出ました。
男性にとって「薄毛」「わかはげ」は、共通
の悩みのタネと言えます。
日本人男性の約30%にこの症状が見られる
と言われています。
AGAには、M型とO型の2タイプありま
す。
(本当はもっと詳しい分類がありますが、
細かいのでここでは省略します)
M型:前頭部(おでこの生え際)から
後退していくもの
O型:頭頂部(頭のてっぺん)から
薄くなっていくもの
です。
どちらか片方だけ進行する場合と、両方同時
に進行する場合があります。
AGAは、長期的に薄毛が進行していくこと
が特徴ですので、
何もしなければ、年齢とともに確実に進行し
ていきます。
実際、どれくらい進行していくのかを研究し
た海外のデータがあります。
18~41歳のAGA患者、1553人を
対象に、500円玉大の面積にある髪の毛の
本数の変化を、5年間にわたって記録してみ
ました。
試験前の平均毛髪数は903本でした。
これがAGAの患者さんでは年々減ってい
き、5年後には平均の毛髪数は650本に
減少していました。
500玉の面積だけで、約250本減った
ことになります。
これが脱毛が進行している部分全体となる
と、かなりの本数が減少したことになるでし
ょう。
主に男性が多いですが、
女性でもこの症状が出る場合があります。
■AGAの原因とは?
AGAによる薄毛の原因は
遺伝と男性ホルモンが関わっています。
一般的に男性ホルモンは髭や胸毛などの毛を
濃くする方向に働きます。
しかし,おでこやあたまのてっぺんなどの毛
においては、
逆に髪の毛を柔らかくしてしまいます。
具体的には、男性ホルモンのテストステロンが、
5α-還元酵素(かんげんこうそ)という
物質により、
ジヒドロテストステロン(DHT)という
物質に変えられます。
このDHTには、毛の成長期を短くしてしま
う働きや、髪の毛を作る細胞ができるのを邪
魔する作用があります。
そのため、このDHTが頭部に作用した結
果、
成長期が短くなることで、髪の毛は太く、
長くなる前に、成長が止まってしまいます。
結果として、だんだんと細くて柔らかい毛が
増え、抜け毛が多くなります。
そして、新しい髪が生えづらくなるため、
全体の髪のボリュームも減ってきます。
脱毛には、遺伝性が認められていますが、
単一の遺伝子ではなく、複数の遺伝子が関係
しています。
さらに、食生活の乱れや、タバコ、アルコー
ル、睡眠不足やストレスも悪化の要因となる
ことがあります。
治療については、次回お話しましょう。
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■今日のまとめ■
それでは簡単に今日のまとめです。
(1)男性型脱毛症(薄毛、わかハゲ)の
ことをAGAと言う。
(2)原因は遺伝と男性ホルモンの作用に
よる。
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