■乾癬の恐ろしい合併症とは?
最近、芸能人が「実は私はこの病気なんで
す」と、次々とカミングアウトしている皮
膚病があります。
それが「乾癬(かんせん)」です。
乾癬は正式には「尋常性乾癬(じんじょう
せいかんせん)」といいます。
皮膚のターンオーバーが、通常より早く進
みすぎてしまう病気です。
白くて硬い粉のようなもの(これを「鱗屑
:りんせつ」と言います)が付着した赤み
が出現します。
この赤みがどこに出るかは人それぞれで、
顔や、頭だけに出現する人もいれば、体の
あちこちにできる人もいます。
今のところ明確な原因はわかっていません。
決して命に関わる病気ではないのですが、
未だに原因がわかっていないため、根本的
に治す方法が確立されていません。
軽症の人は塗り薬で治療しますが、重症に
なってくると、光線療法や飲み薬、注射な
どで治療します。
治療により症状を抑えることはできますが、
再発したり、繰り返すことが多く、一生お
付き合いせざるを得ないことが多い病気で
す。
最近の芸能人のカミングアウトによって、
「乾癬という、慢性の皮膚病が存在する」
ということが徐々に知られてきました。し
かし、その分、「乾癬」=「皮膚だけの病
気」と思われがちです。
しかし、実は、乾癬には、非常に要注意な
合併症があります。
それが「乾癬性関節炎」です。
■「乾癬性関節炎」に要注意!
「乾癬性関節炎」は、末梢関節の痛み、手
足の指のむくみや腫れ、アキレス腱や足の
裏などに痛みがでます。
また、背中や首、腰の痛みを伴うこともあ
ります。
ここで一番怖いのが、いつのまにか、関節
炎が進行して、関節破壊が起こってしまう
ことです。一度破壊されてしまった関節は
元に戻すことはできません。関節が破壊さ
れてしまうと、その関節が曲がったままに
なったり、曲げたり延ばしたりすることが
できず動かなくなってしまいます。
そのため、日常生活に支障をきたしてしま
う危険性があります。そういう意味ではリ
ウマチに似ているイメージですね。
ですので「早期発見」が重要になります。
しかしここでちょっとやっかいなのは、初
期の関節炎では、レントゲンなどの画像診
断でははっきりわかりにくいことが多い点
です。
「乾癬性関節炎は見逃されていることが多
い」という研究データも示されています。
そこで、乾癬性関節炎を早期に発見するた
めに簡単なチェックリストがあります。
それが「J-EARP質問票」というものです。
乾癬の方は、以下の10個の質問に答えて
みてください。
1.関節に痛みがありますか?
2.この3か月の間に、週2回以上関節痛
で痛み止めを飲んだことはありますか?
3.腰痛で睡眠中(寝ている間)に起きる
ことはありますか?
4.朝起きてから30分以上、手指のこわ
ばりを感じますか?
5.手首や手指が痛みますか?
6.手首や手指が腫れていますか?
7.手指が3日以上痛かったり、腫れたり
しますか?
8.アキレス腱が腫れていますか?
9.足先や足首が痛みますか?
10.肘やおしりが痛みますか?
以上のチェックリストで、3つ以上あては
まる場合は、乾癬性関節炎の可能性があり
ます。
その場合は、皮膚科あるいはリウマチ科な
どに早めにご相談下さい。専門的な検査や
治療が必要になる場合があります。
もちろん、そもそも、あなたが乾癬でなけ
れば心配はいりません。ただ、もし家族や
身近な人に乾癬の方がいるようでしたら、
是非、この質問票を教えてあげてください。
関節が破壊される前の「早期発見・早期治
療」が一番です!