すべての塗り薬でかぶれる可能性がある
その他■すべての塗り薬でかぶれる可能性がある
皮膚科ではたくさんのお薬が処方されます。
その数と種類は100種類以上ありますが、
ときに副作用を起こします。
そのなかで圧倒的多い副作用が、「かぶれ
」です。
塗った部分だけ「赤くなったり」「かゆみ
が出たり」「プツプツ湿疹が出たり」しま
す。
「かぶれ」のことを、医学的には「接触皮
膚炎」と言います。
もちろん、できるだけ、副作用が出にくい
ように、製薬会社も事前にチェックして製
造しているでしょう。
医師もできるだけ気を付けて処方していま
す。
それでも、残念ながら、この世に「絶対」
はないので、かぶれる人は一定数、存在し
ます。
例えば、「水虫の塗り薬」でかぶれること
もあります。
また、多いのは「整形外科から処方された
貼り薬」、つまり、「湿布」でのかぶれで
すね。
あとは、皮膚科で多いのは、「抗生物質の
塗り薬」でかぶれ。
意外なところでは、時には、肌をしっとり
させるための「保湿剤」でかぶれているこ
ともあります。
もっとも刺激が少ないとされるワセリンな
どでも、「ぬったら真っ赤になった」なん
てことも。
ちなみに、かぶれた場合、ステロイド軟膏
を塗ると早く治ります。
ところが、なんとなんと、本来、かぶれを
治す成分なはずの「ステロイド軟膏」です
ら、かぶれの原因になることもあります。
・・・もうこうなってくると何でもありで
す(汗)
■かぶれるかどうかは、本人の体質と薬と
の「相性」でしかない
こうなってくると、「じゃあ先生。絶対に
かぶれないお薬はないのですか?」と聞き
たくもなりますよね。
でもやっぱり答えは「ありません」。
たしかに、副作用の出やすい薬と出にくい
薬があることはあります。しかし本当に
副作用がでるかは、「個人差」が大きいで
す。
結局のところ「お薬」と「体質」との相性
でしかありません。
例えば、兄弟のだれかが、あるお薬でかぶ
れて赤くなったからと言って、他の兄弟は
全く平気だったりもします。
「先生、では事前にかぶれるかどうか予測
する方法はないのですか?」
実は、事前にかぶれるかどうか、確認する
方法はあるにはあります。
それは「パッチテスト」です。
しかしこれには難点があります。
お薬の成分を背中や腕に貼り付けて、アレ
ルギー反応が起こるかどうかみるのですが、
これがまた、最終判定まで、最低でも3日
かかるんです。
そしてさらに、1週間のうちに3回も受診
する必要があります。
あなたがアトピーや、湿疹や蕁麻疹などで
「湿疹がどんどんひどくなてきました」
「かゆくて眠れません」という状態で皮膚
科にきたとしましょう。
その際に、先生から、
「では、今から処方するお薬がかぶれるか
どうか、パッチテストをしましょう。」
「今週、あと3日間来院して下さいね。最
終判定は3日後ですので。」
「そこで問題なければ、塗り薬を処方しま
すね」
と言われたら、
「いやいや、とりあえず、今、お薬処方し
てくださいよ!」
と言いたくなると思います。なのでやはり
現実的ではないんですね。
実際に、お薬を塗って「かぶれ」の副作用
が出たことで、「あそこの医者はヤブ医者
だ!」「こんなお薬をだすなんてひどい!」
と、医療機関に対して激怒する方もいらっ
しゃいます。(当院の患者さんはみなさん
穏やかでお優しい方が多くほとんどいませ
んが)
「治りたくて病院いったのに、結果的に余
計ひどくなった」わけですから、気持ちは
わかりますし、腹も立ちます。
しかし、結局、塗り薬の副作用は、あまり
に個人差が大きいので、実際には、事前に
予測することは不可能。
「塗ってみなきゃわからない」
「神のみぞ知る」
というのが現実です(ちょっとひどい話に
聞こえますが・・・)。
なので「あぁ、この塗り薬がたまたま合わ
なかったんだな」と、受け容れるしかない
のが実際のところです。
なので、ここで腹を立てて、かかっていた
主治医や病院を変更する必要もありません。
あくまで「塗り薬のかぶれかな?」と思っ
たら、腹を立てるのではなく、一旦深呼吸
してください。
そして、まずは薬をもらった病院か薬局に
電話して、対応策を聞いてみてください。
あるいは、お薬をもらった病院を再度受診
して、直接先生に相談してみてください。
ちなみに「飲み薬」の副作用は、重症にな
ることもあるので、これはまた今回の「塗
り薬のかぶれ」とはまったく別の話です!
「飲み薬」の副作用の場合は、ただちに、
医療機関を受診してくださいね。