~自分らしいお肌で生きよう~「わたしの皮膚治療」ブログ

皮膚科医の教えるお肌のブログ

市販の水虫薬を使っても良いですか?

水虫

前回は、

「注意!!あなたの足は本当に水虫ですか?(2)」

というタイトルで、

・水虫かどうかは肉眼では判別できないこと。
・水虫の訴えで来院する患者さんの3人に1人は水虫ではないこと。
・水虫にそっくりの症状がでる病気がいくつかあり、
 判別するには、実際に皮を取って調べる「顕微鏡検査」が必要であること。

などをお話ししました。
https://watashi-no-hifu.com/?p=80/

今回は、その続きです。

「市販水虫のお薬」が沢山出回っています。
テレビCM盛んですし、
あなたのお近くのドラッグストアでも
たくさん売っているでしょう。

これらのお薬でももちろん、
水虫は治ることもあります。

ただし、いくつかの注意点があります。

まず、皮膚科医の顕微鏡検査を受けずに、
自己判断で水虫治療を開始してしまう危険が高まります。

これは前回お話ししましたね。

「水虫に似ているけれど違う病気」、つまり
「ニセ水虫」
あるためでした。

この場合、「ニセ水虫」の病気に
いくらお薬を塗っても塗っても治りません。。。

さらに、気になるのは市販の水虫薬の成分です。

水虫をやっつける薬の主成分は
皮膚科で処方されるものと同一のものです。

ですので水虫に対する効果があります。

しかし市販の水虫薬は、実は
水虫をやっつける成分以外にも
たくさんの余計な(?)成分が入っています。

例えば、消毒薬、局所麻酔薬、かゆみどめの成分などです・・・

消毒薬は、通常の濃度では
水虫菌を殺すことはできないことがわかっています。

ですので、消毒薬は不要です。

そもそも、主成分に抗真菌作用(抗水虫作用)の成分が
入っているのでそれで十分です。

また、水虫治療に麻酔薬も不要です

かゆみなどの感覚を麻痺させる、
ということなのでしょうか・・・?

かゆみを伴う水虫は
全体のわずか2割です。

同様の理由から、
かゆみ止めの成分も
必ずしも必要ではありません。

これらの余分な成分がたくさん入っている分、
「かぶれ」を起こしやすくなってしまいます。

つまり、水虫の主成分ではかぶれないのに
その他の添加された成分でかぶれてしまうのです。

この場合、市販薬を塗れば塗るほど、
病変部分がどんどん赤くなり、じくじくして、
かゆみも増してきます。

この、
「市販薬を塗ったらどんどんひどくなった」
というパターンは、日常診療でしばしば経験します。

さらに、お値段も気になります。

通常、市販の水虫薬は、
皮膚科で処方されるお薬の

「約5倍」

の値段です。

逆にいえば、病院で水虫薬をもらえば、
5分の1の値段で薬が入手できる、ということになります。

水虫の薬は、1カ月以上続けて塗って効果が出てくるので、
安いに越したことはないと思います。

ですので、総合的に判断すると、

「水虫かな?」と思った場合、
初めに一度は皮膚科を受診する方が無難だと思います。

その方が長期的にみたときに、
コストが安く済む可能性が高まります。

病院受診は手間がかかるのが難点ですが、
はじめの1回だけでも受診して検査をうけた方が、
患者さんにとって、メリットが大きいのです。

一度しっかり、顕微鏡検査を受けてしまえば、
あとは個人の判断で
市販の水虫薬を使用しても
良いと思います。

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