~自分らしいお肌で生きよう~「わたしの皮膚治療」ブログ

皮膚科医の教えるお肌のブログ

じんましんで病院に行ったのに検査してもらえませんでした

じんましん

『じんましんで病院に行ったのに 検査してもらえませんでした』

 

◆「じんましん」とは?

今日はじんましんについてのお話です。

じんましんは、「膨疹」ともいうように、
蚊にさされたような赤く浮き上がった形の
大小の腫れが出るものです。

かけばかくほど「ミミズ腫れ」のように
盛り上がります。

体の一部だけに出ることもありますが、
ひとつひとつの膨疹は数時間で消えても、
次から次へと新しい膨疹が別の場所に出て
きて全身に広がることも多くあります。

このじんましんには、原因物質の摂取や接触
からすぐに発症し、
その後数分、数時間からせいぜい1~2日
程度で治る「急性」のものと、
1ヵ月以上だらだらと続く「慢性」のもの
とがあります。

◆食べ物が原因であることは意外に少ない

一般的にじんましんは「食べ物が原因で発症
する」と思われています。

もちろん、食べものが原因で出る蕁麻疹もあり
ます。

しかし、実際は、食べ物以外の物質が原因と
なる場合もしばしばありますし、
皮膚科の診療現場で見る限り、全体的にみれ
ば、食べ物が原因と特定できるケースは、
実は圧倒的に少ないのです。

食べ物が原因である場合には、その原因と
なる食べ物を食べてから
30分からどんなに遅くとも2時間以内に
発症することがほとんどです。

ですから、朝起きて、朝食を食べる前から
じんましんが出てきた場合などは、
「昨日の夕飯で食べた○○が原因」という
ことは、意外に可能性は低かったりします。

多くの人が「じんましん=食べ物のアレルギ
ー」と思っているようで、
じんましんで来院される患者さんから
「アレルギーテスト」をしてほしいと希望
されることもままあるのですが、
少なくとも初診の段階でアレルギーテストを
行うことはめったにありません。

学会で定められた「蕁麻疹の治療ガイドラン
(=治療指針を定めたもの)」
というものが世界各国にあるのですが
「最初の段階では、全員にアレルギー検査は
不要である」
と記載されていることが多いです。

海外のガイドラインでも、そのような記述が
多いので、ある意味、
「蕁麻疹が1回でただけでは、アレルギー
検査はしない」のは「世界的な常識」とすら
言えます。

いずれにしても、患者さんの多くは原因物質
が特定しにくく、
またアレルギー性のじんましんかそうでない
かもよくわからない、
といったケースが多いのが実情です。

こういった原因不明のことを医学的には
「特発性(とくはつせい)」と
いうのですが、特発性蕁麻疹が、じんましん
全体の「70%~90%を占める」
という研究結果もあるほどです。

なので、初めの段階で「検査をしてもらえな
かった」としても
それは、ある意味、医学的には正しい判断で
ある、と言えます。

もちろん、明らかに「過去に特定の食べ物を
食べるたびに、毎回じんましんがでる」
のであれば、アレルギー検査は必要です。

しかし、そうでない場合は、検査はせず、
まずは
数日から1週間程度、飲み薬などで様子を
見て、
それで治まって再発がなければ治療は終了、
とすることが多いのが実情です。