~自分らしいお肌で生きよう~「わたしの皮膚治療」ブログ

皮膚科医の教えるお肌のブログ

【尋常性乾癬(1)】温泉に入りたくても入れないんです

乾癬

前回は、

脂漏性皮膚炎の治療法と再発予防法についてお話しました。
https://watashi-no-hifu.com/?p=71/

今回は、「尋常性乾癬」という病気に関するお話です。

突然ですが質問です。

あなたは温泉が好きですか?

最近はどこか温泉旅行に行きましたか?

実は、私たちの周りには、

「温泉が好きで、温泉に行きたいんだけど
 温泉に行けない」

という方たちもいます。

今日はそのお話です。

「尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)」

という病名を聞いたことがありますか?

ずいぶんとむずかしそうな名前ですよね。

皮膚科の病名は、難しいものが多く、
他の科の先生方や医学生から嫌がられることが多いです・・・(--;

この「乾癬(かんせん)」という病気は、
おでこの、髪の生え際にカサカサした赤い湿疹がでることもあるので、
前回お話した「脂漏性皮膚炎」とまぎらわしいこともあります。

この病気も日常的に非常によくみる病気です。
男性に多いですが、男性だけでなく女性も発症します。

メールでも御相談をうけることが非常に多いです。

しかし、意外に、病名を知らずに、
ただの湿疹だと思って悩んでいる方も多いです。

ですので、頑固な湿疹・かゆみで悩んでいる方は、
この病気かな?とちょっと立ち止まって考えてみてください。

典型的な症状をお話します。

くっきりした赤みの上に、
かさかさした白いフケが非常に厚くくっつきます。

この白いフケ・かさかさ、がこの病気の特徴のひとつです。

もし、全く白いフケやカサカサがなく、
ただの赤みだけであれば、
尋常性乾癬は考えにくいです。

皮膚の細胞は、皮膚の下の方で生まれ、
徐々に皮膚の表面に上がってきます。

そして、いずれは
最も表面まで上がってきて、
ついには「フケ」になってはがれおちます。

これが皮膚の細胞の一生です。

この生まれ変わるまでの期間は
通常「28日間」です。
(これを「ターンオーバー時間」と言います。)

ところが乾癬では、このターンオーバーする期間が
「4~7日間」と、非常に短くなってしまいます。

ですから、どんどんどんどん、凄いスピードで
新しい皮膚の細胞が生まれて、
皮膚の表面まで上がってきてしまいます。

これらがすべてフケになって、はがれ落ちます。

そのため、たくさんののフケ・かさかさがみられる訳です。

一言でいえば、
「皮膚の細胞が早く生まれ変わりすぎる病気」
と言えるかも知れません。

頭、髪の生え際、肘や膝、おしり、
など刺激を受けやすい場所に
症状がでます。

しかし、そういった場所だけでなく
すねや腰まわりににも多くみられます。

全身に広がる方もいます。

他人にうつることはありません。

強いかゆみがある方もいますが、
かゆみがほとんどない場合もあります。

体質や遺伝が関係していると考えられていますが、
乾癬の方の御家族全員が発病するわけではなく、
5%程度と低いです。

はっきりとした原因はまだ解明されていません。

そのため、根本から治療する方法がなく、
塗り薬や飲み薬で症状を抑えていく、
という治療がメインになります。

決して、命にかかわる病気ではないのですが、
全身に大量のフケやカサカサがついた赤みが広がる場合、
見た目を気にされる方が多いです。

例えば

「うつらない病気だけど、うつると思われて嫌がられるんです」

「フケがぼろぼろ出て、服のすそから落ちて
 まわりにひろがるから、不潔な人間だと思われちゃうんです」

と言った深刻な悩みを抱えていらっしゃる方も多いです。

一番多く聞く悩みは、

「温泉に行きたいんだけど、人目が気になって行けないんです。」

というものです。

その乾癬の画像をお見せしようと思ったのですが、
ずいぶん長くなってしまいました。

続きはまた次回にお話します。