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「ステロイドで皮膚が黒くなる」は本当か?(その1)

その他

■「ステロイドで皮膚が黒くなる」は
本当か?(その1)

ステロイドの塗り薬は
皮膚科では数多く処方されています。

しかし、ステロイドに関して
インターネットで検索すると

「副作用が恐い」

というサイトが
たくさん出てきます。

私はそれらのサイトを否定する気は
さらさらありません。

逆に、ステロイドの安全性を
宣伝するつもりも、
擁護するつもりもありません。

ステロイドはお薬なので
当然、副作用があります。

使うかどうかは、その副作用を
しっかり理解したうえで、
メリットとデメリットを考慮して、
ケースバイケースで
使用するものだと思います。

それはステロイドに限らず、
すべてのお薬に共通して言えることです。

副作用のないお薬など
ないのですから。

ちなみに、私のクリニックにも
ステロイドを全く使用しないで
通院されている方も
沢山いらっしゃいます。

ただ、インターネット上の
ステロイドに関するサイトを見ると、

明らかに

「その副作用の記述は医学的におかしいので
は?」

と思われるサイトが多く見受けられます。

例えば。

「ステロイドの恐い副作用」
といった内容を扱うサイトで
よくみられるものに

「ステロイドを塗ると皮膚が黒ずむ」

という記述があります。

これは実際にクリニックで
診察していてもよく質問されます。

「ステロイドを使うと皮膚が黒くなるって
聞いたんですけど・・・」

多くの患者さんから寄せられる
心配のひとつです。

しかしこの

「ステロイドを塗ると皮膚が黒ずむ」

という話は、かなり「?」な内容と
いわざるを得ません。

簡単にその背景を以下に説明します。
(医学的には不正確ですが
 あえて簡単に説明します)

まず、
「皮膚が黒くなる」とは
「メラニンの沈着」を意味します。

メラニンが沈着する原因は
皮膚の「炎症」です。

「皮膚の炎症」とは、ようするに
「皮膚炎」や「湿疹」のことです。

皮膚に炎症が起こり、その炎症が治まると
そこにメラニンが沈着し、
皮膚が黒ずみます。

これは医学的には

「炎症後色素沈着」

と言われます。

あなたも、虫刺されのあとが
黒く残ったことはありませんか?

湿布かぶれや、やけどが治ったあとに
皮膚の色が黒ずんだ経験はありませんか?

これもすべて炎症後色素沈着です。

ですので、この炎症後色素沈着は
日常的によく見かける現象です。

まとめると、

「炎症が起こる」⇒「治る」⇒「黒くなる」

ということです。

これはあくまで自然な
人体の反応です。

そして、この炎症後色素沈着は、
時間が経つと薄くなります。

ときに数年かかることもありますが、
徐々にもとの皮膚の色に戻っていきます。

ここまではご理解いただけたでしょうか。

まずは「炎症後色素沈着」という概念がある
ことを覚えておいてください。

さて、それでは
問題のステロイドです。

なぜ、ステロイドで皮膚は黒ずむ、
という誤解が生まれたのでしょうか?

長くなったので続きはまた次回に。

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■今日のまとめ■

それでは簡単に今日のまとめです。

(1)湿疹、皮膚炎が治ったあとに残る皮膚
   の黒ずみを「炎症後色素沈着」といい
   ます。

(2)「炎症後色素沈着」は自然な現象で
   す。
   原則として、徐々に元の状態に戻りま
   す。

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